いつもヘッドライフ通信をお読みいただき誠にありがとうございます。
スクール代表・ヘッドマッサージ専門家の江口です。
今回は、「ドライヘッドスパは儲からないですか?」という卒業生からの質問から、ヘッドセラピストの手取り、収入、月収などについても書きました。
また、しっかり稼ぐためのライバル店対策の戦わない経営についてもお伝えします。
ヘッドマッサージ資格講座の卒後の個人練習にて、ご相談があり質問をうけました。
個人練習は、マンツーマンレッスンなので悩み事をお話しされる方が多いです。
こちらのスクールで資格をとって、ドライヘッドスパ専門店を開業する予定です。
家の近くにも頭の専門店がありますが、これってサロン開業しても儲からないですか?
(大阪府・主婦・50代・マッサージ未経験)
ご質問ありがとうございます。
こちらの卒業生は、マッサージ未経験の主婦さんです。
1カ月前にヘッドマッサージ資格講座を卒業したばかりで、ヘッドセラピスト資格試験へのチャレンジが視野に入っている状況です。
目標としていたサロン開業にリアリティが増して、不安がでてきた様子もあります。
さて、今回のご質問は、「近所にライバル店がある中、ドライヘッドスパ専門店を開業して儲かるのか?それとも儲からないのか?」といった切実な内容です。
このような主旨の不安や心配事による悩みは、サロン開業前なら誰でも抱くのではないでしょうか?
ある意味、人間としての防衛本能や危機管理が正常に働いている証拠だと思います。
そして、今いるサロン経営者のほとんどが、そういった不安や心配をバネに経営・集客についての勉強に努めているはずです。
この卒業生にもお伝えしましたが、これは、特別な悩み事ではありません。
2つ目のご質問にもあったようにライバル店への対策はされた方が良いと思います。
ライバル店への対策として、「戦わない経営」があります。
過去にも、講座へのお問合せメールで「ドライヘッドスパは儲かりますか?」という質問がありました。
仮に、「はい。儲かりますよ。」と私が返信すれば、「わかりました。では申し込みます。」となるのでしょうか?
この方はいくら儲けたいのでしょうか?
例えば、月に50万円の手取り収入が欲しいのであれば、サロンが大繁盛すれば可能です。
エステのような高単価ではなく、通常の60分コース6000円~7000円程度のドライヘッドスパ専門店の場合です。
セラピスト一人で、自宅やマンションでサロン開業した場合、手取り収入で月額50万円、年収にして600万円は大成功です。
週休2日として、まずは月収30万円を目指してみてはいかがですか?
しかし、手取りにして月額100万円を稼ぎたいと希望される場合は、美容などの高単価メニューを導入する、商品を販売する、さらには夜遅くまで営業するなどを検討しないといけません。
もしくは、スタッフ数名で2~4店舗を運営しないと月額100万円は難しいかもしれません。
「ドライヘッドスパは、いくら稼げますか?」の質問に対して、「いくら稼ぎたいですか?」と質問に質問で返すと、困った顔をする人がほとんどです。
何故かと言うと、この質問をする人のほぼ全員が、リラクゼーション等のサロンに勤務したことが無いからです。
一度でもサロン勤務の経験があれば、「頑張っても月収50万円かな」など独立開業後のイメージができるからです。
また、サロンセラピストの世界は、お客様から指名されて初めて個人売上が上がるため、売上(収入)は自分の実力次第ということを身に染みて知っています。
ですから、「儲かりますか?」「いくら稼げますか?」と質問することもありません。
いくら稼げるかは自分の能力次第です。
サロン経営者になると、ドライヘッドスパの技術だけではなく、経営のセンスも必要です。
サロン経営に長けており、マネージメント能力があれば、複数店舗の運営も可能になり、年収1000万円以上も十分可能です。
本当にしっかり経営をされている社長からすると、「年収1000万レベルは、経営センスが無くてもできる」というのが本音かもしれません。
約20年前の話ですが、リラクゼーションサロンの70%は1人で働いている小さいサロンと聞きました。
今はスマホでSNSを駆使すれば、自宅でもマンションでも集客できるため、1人で働くサロンの割合は高くなっていると推測できます。
そのような方々は、複数店舗の経営に挑戦しないからできないだけで、実は意外と超えられるのが年収1000万円の壁かもしれませんね。
ヘッドマッサージ資格講座を卒業して、ヘッドセラピスト資格取得をしたのだから、稼げないと困ります。
趣味の習い事ではなく、職業として技能を習得したからには稼ぎたいはずです。
しかし、私が「いくら稼ぎたいですか?」と聞くと、多くの人が具体的な金額が明確ではない人が多く、以下の2パターンの回答をいただきます。
確かに、サロン未経験者で右も左もわからない時期は、私もそのように答えるかもしれません。
セラピストキャリアが無い分、自分がどのくらい稼げるか未知数なのでこのような回答になるのは仕方がありません。
前述したように、1人で働くなら月収30~50万円を目指しましょう。
次の稼げるセラピストの4つの条件を参考にしてください。
(1)
まずは、ドライヘッドスパの施術を正確に学び、何度も繰り返し練習をして、ケーススタディを取るなど経験を積んでいきましょう。
(2)
脳科学のセロ活や睡眠、実用的な頭皮毛髪や東洋医学のアドバイザー資格を得るなどをして、ヘッドセラピストとしての価値(専門性)を高め、ブランディングを強化しましょう。
(3)
筋膜ラインなどの解剖学を理解して相乗効果メニューを取り入れることで売上アップのクロスセルが行えます。
(4)
(1)~(3)と同時進行で集客について学び、失敗を恐れずにトライ&エラーを繰り返して、自分のサロンにあった集客方法を確立しましょう。
具体的な金額を言うのに気が引けるのか、遠慮がありこのような回答をされる人も多いです。
実際にどのくらいの月収・年収が必要かは、パートナーの収入があるか、無いかにもよります。
他にも、子供が成人しているか、まだ学生なのか、住宅ローンが残っているなど、それぞれのライフステージによって欲しい金額が異なるものです。
サロン開業をするとお金の管理・コントロールも必要になります。
今の生活でどのくらいの支出があるかを計算しておくと、最低限必要な毎月の収入が明確になります。
また、毎月このくらいは貯金したい、旅行もしたいなど、自分が希望とする金額を上乗せすると、理想の月収が明確になります。
仮に月収20万円が必要で、月に20日は勤務できるようであれば、1日1万円の売り上げ、プラス、家賃・光熱費・通信費・雑費などの固定費を稼ぐ必要が出てきます。
いづれにしても、しっかりと稼ぐには、上記の(1)(2)(3)(4)を行うことになります。
手取り金額と収入を一緒に考えている人がいます。
月の収入が20万の場合、所得税、住民税、健康保険料、介護保険料などを差し引くと手取りで16~17万円くらいになります。
手取り金額で20万円がほしいとなると、月収にして約25万円が必要です。
税金を差し引く前が収入(月収・年収)で、税金を差し引いた後の金額が手取りになります。
手取りと月収を混同すると、ボタンを掛け違うように計算にズレが生じますので注意しましょう。
この記事の冒頭にライバル店対策は「戦わない経営」とお伝えしました。
戦わない経営とは、ライバル店との競争をすることなく、自分のサロンに目を向け、専門性を高めることや、コンセプトやテーマを絞ってニッチ化するなど独自性を活かす経営スタイルのことです。
ドライヘッドスパの専門性や、他にはない独自性を作り上げるのには、時間とお金も使うかもしれません。
結果が出るまでは、心が折れるような地道な努力を強いられるかもしれませんが、それこそが、自分磨きです。
「そんなこと嫌です」と言う人は、「楽をして儲けたい」と言っているのと同じです。
目の前のライバル店に負けたくない、評価されたい、優位に立ちたい、自分のサロンが潰れるのが嫌だと思うのであれば、自分を強くするか、同じ土俵で戦わないことです。
同じ土俵で戦うと生じるのが、価格競争です。
「一度でも、私のドライヘッドスパを受けに来てくれたら、気に入ってくれるはず」と新規クーポンなどの割引でライバル店と競うことになります。
そうすると、体力もメンタルも消耗してしまいます。
同じ土俵で戦わないとは、言い換えると「すみ分け」です。
すみ分けをすることが、戦わない経営の基本です。
ライバル店対策として、お客様により価値のあるサービスを提供することを目指すと、その先にあるのが差別化、または、ニッチ化です。
私もそうでしたが、「差別化」と「ニッチ化」を混同している人がほとんどです。
ニッチとは「隙間」という意味で、誰も手を出していない部分(市場)を狙うのが「ニッチ戦略」です。
この時点で、差別化されているので「差別化戦略」と思うのも無理はないのですが、正式には異なります。
「差別化戦略」は、ライバル店と戦うことを前提にした戦略で、他店にはない価値や魅力といった特徴を打ち出すことです。
同じ土俵に立たないために、すみ分けをする「ニッチ戦略」と、戦って勝つだけの特徴を築き上げる「差別化戦略」と覚えるのがよいでしょう。
そして、自分の手で、まったく新しい土俵(市場)を作り出すことを「ブルーオーシャン戦略」とも言います。
これはゼロイチの作業であり、発明に近いので難しいでしょう。
「○○のためのドライヘッドスパ」など、頭を揉みほぐすドライヘッドスパの土俵(市場)を少しずらしてニッチ化することは出来そうです。
もしくは、当店・当スクールのように以下のように特徴を打ち出して差別化する方法もあります。
上記の文言は、当スクールの卒業生(資格取得者)なら自分のサロンに応用できる内容です。
今回は、スクール卒業生からのご質問「ドライヘッドスパ専門店は儲からないですか?」からはじまりました。
1人で働くなら、月収30万~50万円が目標、経営センスがあれば、年収1000万円の壁も超えられるといった話から、手取りと収入(月収)の違いまでの解説をしました。
そして、今後のドライヘッドスパ(ヘッドマッサージ)専門店が直面するであろうライバル店対策として「戦わない経営」「ニッチ戦略」「差別化戦略」など、たくさんお伝えしました。
いかがでしたか?少し大変そうですね。
理想と現実の狭間でやれることをやっていください。
頑張ってニッチ化をしても、いずれニッチな部分にさえ、ライバルが出現します。
一生懸命に特徴を出して差別化をしても、その上をいく強力な特徴をもったライバルが出現します。
経営とはそんなものです。
「どうしよう」「何からしていいか分からない」「サロン開業できるかな」となっていませんか?
これだけ書いておいて申し訳ないのですが、まずは色々と気にせず、自分が興味や関心があることに注力して、得意分野を伸ばすことです。
そして後から、「これはニッチ化できる」「これは差別化になる」など、自分の能力を整理していきましょう。
大前提として、能力があることです。
ですから、記事をさかのぼって<稼げるセラピストの4つの条件>が必要になります。
一番ダメなのは、何もしていないことです。
さて、今日は何する?
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この記事は2023年5月17日に作成しました。
更新日2024年12月3日
江口征次
ドライヘッドスパ・ヘッドマッサージの専門家
Head Life(ヘッドライフ)代表
一般社団法人日本ヘッドセラピスト認定協会 理事長
株式会社ヘッドクリック代表取締役
頭ほぐし専門店atama代表
ヘッドスパ専門店atama代表