「頭や髪の扱いは最上級に丁寧にしてください。」
ヘッドマッサージ講座で私がいつもしつこく言っていることです。
施術の前は必ず、髪や枕の位置を整えますが、ここで、セラピストの第一印象が決まります。
髪を引っ張ったり、耳まわりをゴソゴソしたり、せっかちで作業が雑になると印象が悪くなるので
当協会(一般社団法人日本ヘッドセラピスト認定協会)では お客様にまったく負担をかけない特別な方法で行います。
それは、病気や事故で身体が不随になって
首さえ動かせない人にでも使えるヘッドマッサージの必須テクニックです。
「髪を整えるので頭を浮かしてください。」なんて
お客様に指示していたら三流のセラピストに成り下がります。
気を付けましょう。
先日の東京講座で親子ほど年齢が離れた生徒さん同士がペアになったとき、
「母のぬくもりを感じる」と言っているのを聞いてほっこりしました。
頭や髪を丁寧に、丁寧に、扱われるとそれだけで癒されるものです。
髪は、一見、サラサラにみえても、ブラッシングを丁寧にしていない限り、かなりの確率で絡まっています。
その絡まりをとってから施術をしないと、施術中に指が引っかかりお客様に不快な思いをさせてしまいます。
それが安眠の妨げにもなります。
(当協会のヘッドマッサージのコンセプトの一つに「不眠を解消して鬱を予防する」とあるので重要です。)
そんなことがあってはいけないので、ヘッドマッサージの前は、
しっかりと髪のグルーミング(hairgrooming・headgrooming・scalpgrooming)を行います。
グルーミングとは、本来、猫や鳥が行っている毛繕いや、猿のノミ取りのことです。
人間においては、ソーシャルグルーミングとも言いい、平たく言えばスキンシップのことです。
ハグや手をつなぐ、楽しく会話することもグルーミングと言います。
マッサージ全般は、代表的なグルーミングでオキシトシンの分泌が促進してセロトニンが活性化します。
オキシトシンは、愛情ホルモンと呼ばれ、信頼関係を築くために必要です。
美容師さんでもない限り、他人様の髪に触れることはあまりないので、生徒さんの中には緊張で手が震える人もいます。
慣れれば、どうってことないのですが、慣れても雑になってはいけません。
その理由は、
ヘッドマッサージは、最初に髪のグルーミングでオキシトシンを分泌して
信頼関係の中、施術していくから深い眠りに落ちてくれるのです。
雑な荒っぽいグルーミングは、そもそも、グルーミングとは言いません。
オキシトシンの効果もなければ、セロトニン神経の活性化もなく、
結果、深い眠りが得られず、脳疲労の解消になりません。
なので、私は、講座中に、何度も何度もしつこく、
「頭や髪の扱いは最上級に丁寧にしてください。」と申し上げています。
髪のグルーミングは、最初の作業ですから、 ヘッドセラピストの第一印象になります。
スタートの印象が悪いと、名誉挽回するまで、オキシトシン、セロトニンなどの恩恵が享受できなくなります。
簡単に例えると、 本来、10分以内に寝落ちするお客様が、
20分かかる、または、最後まで眠れなかった
といった残念な結果に結びつきます。
なので、気を抜いてはいけません。
髪のグルーミングはヘッドマッサージの施術の一部であり、はじまりです。
指先からセラピストの心理状態は見透かされるものです。
髪をなでるときは「よしよし」と表現しますが、
グルーミングの時は、心の中で「よしよし」と唱えて、愛のある感情で行いましょう。
大人になると、「よしよし」される機会がないのでヘッドマッサージは貴重な愛情スキンシップです。
そう、結局の話、
グルーミングとは、愛情スキンシップのことです。
単身が多い、現代社会だからこそ、貴重な愛情スキンシップ。
大切に、丁寧に、丁寧にしてあげると本当に喜んでくれますよ。
ヘッドセラピストは社会にとって貴重な存在なんです。
追伸
当協会のヘッドマッサージは、自律神経、ホルモンバランス、オキシトシン、セロトニンなど理論に基づいて様々な「仕掛け」を組み込んでいます。奥が深い、マニアックとも言われますが、今後もお話しできる範囲でこちらに書いていこうと思います。